ライト級のスタンダードクラスにエントリー。
ところが自分の相手はスタンダードクラスじゃなく、上のハイクラスの選手だった。
ハイクラスはプロの選手も出てて、プロ興行試合の査定を兼ねられてる。
勝てばプロ興行試合に呼ばれるし、負けると呼ばれなくなる。
今回自分は得意な打撃だけじゃなく、グラップリングの練習も積んできた。
ハイクラスでも通じるんじゃないかと秘かに自信を持ってた。
1ラウンド目、打撃の打ち合い。
自分の方がいい打撃を当てて、相手が消耗して効いてきてるのを感じた。
何発かいいパンチを入れて、膝蹴りも入った。
1ラウンド終盤、もう少し膝を入れてKOを狙ってやろうかと思った。
ところが中途半端な距離で動いてしまい、力の入ったストレートをもらってしまった。
完全なダウンで一瞬記憶が飛んだ。
1ラウンド終了のゴングが鳴り、平気なふりをして立ち上がったけどめちゃくちゃ効いてた。
セコンドの代表に
「ダメージやばいか?」
と聞かれて
「やばいっす、揺れてます」
と答えた。
少ししてレフリーが来た。
自分の様子を見て
「大丈夫?続行できる?」
と聞かれた。
レフリーには
「はい、全然大丈夫です」
と返事。
受け答えだけは平然を装った。
代表から
「作戦変更、2ラウンドはテイクダウンいけ」
と言われた。
元々打撃で勝ち切るつもりだったけど、負ける可能性が出てきたので組み技も使うことに。
2ラウンド目、打撃のやり取りからダブルレッグのタックル。
完璧にテイクダウンできた。
得意技のヴォンフルーチョークを狙ったけど入らず。
トップコントロールしてボディパウンドを当てた。
相手がだいぶ消耗してきてた。
何度か逃げようとされたけど、コントロールして逃がさず。
こつこつパンチを入れて、ボディに膝も入れた。
終盤に強めのボディパウンドを当てて、相手は完全に動けなくなってた。
結果は2-1で判定勝利。
1ラウンド終了間際のダウンのせいで相手に1入ったけど、1ラウンド全体の打撃と2ラウンドのトップコントロールで自分に2入ったんだと思う。
MMAで戦って勝ったって実感があった。
それに強い相手に勝てたってことも感じられて凄く嬉しかった。
試合後、マウスピースを外したら一緒に歯がとれた。
全然気づいてなかったけど1ラウンド終了間際の右ストレートで折れてたんだと思う。
前歯折れたけどいまは最高の気分。
一生記憶に残る試合になった。