帰宅部

仕事帰りの出来事。

少しだけ残業して帰宅。

家の最寄り駅に着き、暗い道を歩いてた。

すると前から中学生くらいの女の子が向かってきた。

泣きそうな表情で

「あーどうしよう!助けてください!」

と言う。

「どうしたの?」

と聞くと

「川に携帯落としちゃったんです!」

って返事が。

もっと大変なことかと思ったぜ。

川って言っても水量はほとんどない。

暗いのではっきりしないけど、上から見ると携帯らしきものが白っぽく見えた。

おじさんに任せておきなさい。

…と思ったけど、水面まで2〜3メートルある。

川の両岸は垂直のコンクリートのため、一度下りると上がることができない。

うむむ…。

聞いてみると、お祖父さんが近くに住んでて車で送ってもらったらしい。

お祖父さんと別れた直後に落としたみたい。

お祖父さんの電話番号を覚えていると言うので自分の携帯を貸してあげた。

5分後、懐中電灯とロープを持ってお祖父さん到着。

上流と下流に分かれて探し、上流でなんとか下りれそうな場所を発見。

木にロープを巻きつけて下りることにした。

自分が先に下りたんやけど、お祖父さんも下りてきた。

若い人でも下りにくい場所なのにかなり身軽。

結局サンダルを持ってきたお祖父さんが下流まで行って携帯を拾った。

ワタクシ待ってただけ。

中学生の子にめっちゃ感謝されたけど自分は何もしてない。

挨拶して別れ、家に向かった。

もうすぐ家に着くってところで車が追いかけてきた。

車で待ってたお祖母さんがどうしてもお礼を言いたいってことやった。

ちょうど家の前で、名前とマンションの部屋番号を聞かれた。

何もしてないのでお礼はいらない、留守にしてることが多いのでいま挨拶してもらっただけで結構ですってことを伝えたけど、お祖母さんは改めて訪ねて来そうな雰囲気やった。

逆に申し訳ない。

宗教の勧誘と変な営業が多いので普段はインターフォン鳴っても出ないようにしてる。

しばらくはインターフォン出るようにしとこーっと。