フェンス

どうでもいい話。

 

なつおを待ってる間、カードショップの近くの広場のベンチで座ってた。

道路とフェンスで仕切られてるところ。

 

そのフェンスの角の部分に隙間があった。

フェンスとフェンスがくっついて建てられてない。

15cmくらいの隙間ができてた。

 

「この隙間、自分は通り抜けられるかな」

と気になった。

試してみたかったけど、そんなことしてると周りからおかしい人と思われる。

それに挟まって動けなくなる可能性もある。

 

分別のつく大人なので我慢した。

 

大会後のなつおを迎えに行って、近くのコンビニのイートインで軽くご飯を食べた。

そのときにまた

「あの隙間、通り抜けれるのかな…」

と気になってきた。

食後、なつおに

「ちょっと気になることがあるから一緒に来て」

と頼んだ。

 

隙間に到着。

 

なつおに

「この隙間を通り抜けれるか気になる」

と伝えると

「何それ」

と笑ってた。

「一人だったら恥ずかしいから試せなかった、いまからやってみる」

と言ってやってみた。

 

ガッ。

頭がまず通らない。

 

あ、そうなん。

 

なつおは

「俺はいける」

と言って通り抜けてた。

ただなつおでもリュックを下ろさないと詰まってた。

 

「足は通るんだけどな」

と言いつつフェンスの隙間に足を入れてみた。

やってみると脚は全部通った。

でもお腹のあたりが詰まる。

 

ベルトをずらしたらお腹もなんとか通った。

でもやはり頭が通らない。

 

頭だけがフェンスの隙間から突き出た状態になった自分を見て、なつおは

「うひゃひゃひゃひゃ」

と声を上げて笑ってた。

 

その時、フェンスを押してみると少し動いた。

力を込めて押すとわずかに斜めに傾く。

 

いける。

 

「うおー」

と言いつつ力を入れてフェンスを押した。

挟まりつつも頭が抜けてきた。

 

力を緩めると頭がフェンスに挟まる緊急事態。

 

フェンスを押して頭を隙間に押し込む。

なんとか最後まで頭が抜けた。

 

やったぜ。

 

ぎりぎりフェンスの隙間を通り抜けることができた。

フェンスとフェンスの間を無理矢理通ったせいで頭が締めつけられて痛かったけど。

 

なつおには挑戦することの大切さを教えてやれたと思う。